英語コラム第42回:英語の発音の優先順位

ニュージーランドに来てからめっきり行くこともなくなりましたが、僕は日本にいた頃からカラオケが大好きです。好きなだけじゃなくて正直結構うまい方で、これは十八番の80年代洋楽を歌う時に限らず邦楽でも音を外すことはめったにありません。

何の根拠もない持論なんですが、歌がうまい人って基本的に語学の発音がうまくなる素養を持ってると思うんです。歌は普通音程を頭で考えるのではなく聞いたそのままのリズムと音程で口から音をその歌手に「真似て」出していると思いますが、英語なんかの発音もそれに近いものがあります。

小さな子が言葉を覚えるように何も考えずにとにかくマネしてみる、それが聞いた音に近ければうまくしゃべれるようになるというわけです。

ということで、今回は英語の発音についてちょっとしたコツをお話したいと思います。

 

発音矯正のメソッドは色々あると思いますが、僕が最も重視しているのは「アクセント」と「抑揚」です。この2つを押さえておけば、RとLやSとSHに少々難があったとしてもほとんどの場合通じます。逆に、どんなに子音や母音の発音がネイティブ並みにできても、強弱が間違っていると通じなくなりますし、いかにも「ジャパニーズイングリッシュ」的に聞こえます。今日はまず「アクセント」についてです。

英語のアクセントで注意すべきは日本語にない「子音だけ」の音。注意すべきというか、強く発音しないというのがポイントです。

Trainを「トレイン」と発音するのではなく

「トゥレイン

くらいの気持ちで、最初の「トゥ」は聞こえなくてもいいくらいの感じで

レイン」だけ強調するのです。

語頭と語尾の、後ろに母音が付かない子音は本当に聞こえなくても文脈で通じるし、英語っぽく聞こえます。

 

このアクセントの重要性を示す有名な笑い話があります。

ある日、イギリスのWest Kensingtonに行きたい日本人観光客がタクシーで「ウエストケンジントン」と運転手に告げますが全く理解してもらえません。何度繰り返しても通じなくて、最後にやけくそで「上杉謙信!」と言ったら通じた、というストーリーです。

真偽の程は定かではありませんが、この逸話は英語の発音に関するとても重要なヒントを提示してくれています。まずWest Kensingtonをカタカナ英語っぽく発音してみてください。きっとウ、エ、ス、ト、ケ、、、、全部がフラットで均一の発音になると思います。

でも、実際の英語では「ウエストゥ ケンジントン」のように、「ウエ」と「ケン」の二箇所に強いアクセントがあり、これが「うえすぎ けんしん」という日本語のアクセントがある場所・音と一致していたから理解された、という例なのです。

「ストゥ」と「すぎ」の発音、「ジントン」と「しん」の音は明らかに違いますが、そこにはアクセントがないため多少の発音の違いはネイティブの耳に意識されません。とにかくアクセントが違う単語は日本人の想像をはるかに絶するくらいにネイティブには理解されないんです。

 

当然子音をきれいに発音できれば更にいいのですが、物事には優先順位があります。まずは単語のアクセントを口に覚えさせて、これができるようになった後に子音の発音を練習する方が「それっぽい発音・通じる発音」へは明らかに近道です。

 

次回このテーマでは英語発音のもう一つの重要なポイント「抑揚・イントネーション」を取り上げたいと思います。