移住コラム第15回:NZのお金

海外で生活すると財布の中のお金がすぐに取り出せなくて焦った経験ってありませんか?お金って毎日手にする生活に密着し たものなので、色とか大きさとか感覚で覚えてるんですよね。なので円でないお金に慣れるのは少し時間がかかります。今日はここニュージーランドのお金の小 話、さらにはこの国で普及している電子決済の仕組みについてです。


【現ナマ】

ご存知の通りニュージーランドの通貨はニュージーランドドル(NZ$、俗称キウィ)ですが、なんと1967年までは旧宗主国と同じニュージーランド「ポンド」でした。僕が生まれる4年前だから、そんな大昔でもなかったんですね。

現在ニュージーランドドルの紙幣は$100、$50、$20、$10、$5の5種類。以下のようなカラフルな見た目です。

肖像に使われてる人達は女王陛下くらいしかわからないので、これから勉強します。。。
プラスチック製なので、なんかモノポリーのお金みたいな感じ。折れにくいんですが一度折れ目がつくと戻りにくいので、使い勝手としてはプラマイゼロかなー?サーファーはポケットにお金入れたまま海に入るらしいので、波乗り人には好都合かもしれませんね。

流通しているコインは現在5種類、$2、$1、50c(セント)、20c、10cです。$1コインの裏に描かれているキウィ(鳥)とシルバー・ファーン(シダ植物)はいかにもニュージーランドらしいですね。

画像からお気付きかと思いますが、ニュージーランドでは10cが硬貨の最低単位で、5c、2c、1cといった硬貨は存在しません。1cと2c硬貨は1990年に、5c硬貨は2006年に廃止されました。

紛らわしのが「硬貨の最低単位」という部分で、これは10c以下のコインは物理的に流通していない、という意味です。値段の最低単位は相変わらず1cなので、お店では普通に「$2.99」といった表示がされています。このため「現金で会計する際は実際の値札と金額が異なる」という日本では考えられない状況が発生します。

例えば上記の「$2.99」という金額。買ったものがこの商品1つだけの場合、レジで現金$3払ってもお釣りは返ってきません。小数第二位が四捨五入されて$3.00になるのです。さらにすごいことに、この端数処理ルールはお店が決めていいことになっていて、四捨五入/五捨六入/切り捨て/切り上げ、色々あります。

5cが流通していた1990年から2006年までの間はSwedish Roundingと呼ばれる「二捨三入」ルールにより1セントの位が8、9、0、1、2の場合は「0」に、3、4、5、6、7の場合は「5」に丸めるという、経理ソフトウェアを開発する技術者にとっては悪夢のようなシステムがまかり通っていたようです。

いい加減といえばいい加減なんですが、誰も文句を言わない、というか気にしないのもキウィスタイル。

なお、これはあくまで現金決済での話。後述するクレジットカードやEFTPOSといった電子決済では端数処理は行われず、額面通りの金額が決済されます。

 

【電子決済】

海外に行くと多くの場合、スーパーやコンビになどでの小額の買い物でもみんなカード決済しているのに驚かされることがあります。これはニュージーランドでも同様で、あまりにもキャッシュレスの電子決済に慣れてしまって、突然現金が必要になった時に手元にない、なんてことがたまに起こります。

クレジットカードも使える加盟店は多いんですが、ニュージーランドでは多分デビットカードのEFTPOSElectronic Fund Transfer at Point OSales:エフトポスと読む)がより普及していると思われます。

僕 は日本ではデビットカードなんて作ってもいませんでしたが、こちらで使ってみると本当に便利なんですよね~。うちのメインバンクのANZのことしか知りま せんが、口座を作った時にもらうキャッシュカードがそのままEFTPOSで使え、キャッシュポイント(ATM)じゃなくてもレジで現金を引き出すことがで きるし、口座残高以上には使えないので(O/D:Over Draft=当座貸越が付いている口座もあるけど手数料取られるのが一般的)お金の管理意識が高まるし、最近はすっかりクレジットカードを使うこともなく なりました。

あと、ここ1、2年でSnapperというチャージ式のICカードも登場してきました。オークランドでは多くのバス路線(オークランドで公共交通機関といえば電車というよりバスなのです)がこのSnapperと提携したHop Cardというカードで乗車できるシステムを採用しており、オンラインで残高確認もできます。

ロンドンでは「Oyster Card(牡蠣)」、香港では「Octopus Card(蛸)」、そしてニュージーランドはこの「Snapper Card(鯛)」、ICカード業界どんだけシーフード好きやねん!

そのうち東京のSuicaやPASMOのようにSnapper Cardでお店での買い物ができるところも増えてくるんでしょうけど、EFTPOSが便利過ぎるのでどの程度Snapperが使われるようになるかは未知数ですねー。

 

(続く)