移住コラム第28回:オークランド職探し(就職決定!)

こうして先の見えない海外就職活動が4ヶ月目になろうとした2月後半、劇的な展開が待っていました。

 

なんと、念願のジョブオファーを手に入れたのです!!!!

 

まず雇ってくれた会社ですが、Kiwi経営のBI(Business Intelligence)コンサルティング会社です。特定の求人広告が出されていたわけではありませんでしたが、最初の会社で4年間コンサルタントをやっていた「Hyperion Planning」というBI/予算編成の製品を扱っていることがわかっていたので、ダメ元でCVを送って「この製品よく知ってるんですけど、ポジションありませんか?」という売り込みをこちらからかけてみたんです。

すぐに先方の共同設立者の一人であるDirectorから連絡があり、翌週火曜に初回のインタビューに出向くことが決まりました。火曜のインタビュー後これまたすぐ「君のボスになる奴に会ってくれ」と言われて木曜2度目のインタビュー、そして翌日の金曜にジョブオファーのレターが届くという恐ろしいスピード感で決まってしまいました。それまでオンラインで見つけた求人に申し込んだ件数73件、そのうち対面でのインタビューまで進んだのは今回が2回目でした。前々回の「活動編」で書いた「うまくいった方のインタビュー」とはこの会社のことだったんです。それまでの凄まじいまでのヒット率の悪さは一体何だったのか?と拍子抜けするくらい、CVを送ってから全てが1週間であっさり決まってしまったのです。

この会社、30人くらいの小規模なコンサルティング会社ですが純粋にスキルと経験で判断してくれたのでビザのこと(オープンワークの期限とか)はほとんど聞かれることもなく、移民だから、英語がネイティブではないからという理由で足元を見るようなこともありませんでした。これはある意味特殊だと思いますが、なんと前職の上司などのreferee(紹介者)すら求められませんでした。

今回の勝因は「製品スキルがあったこと」、これに尽きると思います。特に僕が求職していたITのビジネスアナリストやコンサルタントといった職種では、特定のソフトウェア製品知識があることは非常に強力な売りになります。ニュージーランドのマーケットだとSAPMS DynamicsといったERP製品、BI製品ではBusiness ObjectsSSASか希にCognos、あとSharepointSalesforce.comなども求人のキーワードとして頻繁に目にします。僕のようにニュージーランドへの移住を目指していてこれらの製品を導入した経験のある人には「何グズグズしてるの?早くこっちに来なさい!」って言いたくなるくらいに魅力的なスキルになり得るんです。

僕が導入していたHyperionはBIの中でもかなりマイナーでニッチな部類なんですが、逆にマイナーだからこそ経験者を集めるのが難しく、求人の件数は限りなく少なくてもポジションさえあれば他の候補者と競合し難いスキル・経験だったんだと思います。

あと、英語の面接なので当然これらのスキルと経験を英語できちんと説明できる必要がありますが、自分が本当にスキルとして身に付けていることだと自分の英語の実力以上にうまく話せたりするものです。ある程度どんな説明をするかは事前に考えておく必要はありますが、やってきたことを自信を持って話せば専門的であればあるほど相手には伝わりやすくなります。

僕はBAやソフトウェア製品コンサルティングの分野のことしかわかりませんが、ITではプログラマーやディベロッパー職だとこの「スキルを武器にして職を得る」ということがもっと簡単になるはずです。実際僕の通った専門学校(プログラミングコース)の同じような海外からの移民の同級生達は、本国でのプログラマーとしての職歴を活かして全員が早々に就職を決めています

また、このことはITに限らずシェフや美容師など他の技術職でも当てはまるんじゃないかと思います。とにかく日本にいて将来海外移住を真剣に考えていらっしゃる方、今のうちに海外でも通用するスキルを身に付ける(または強化する)ことを常に意識しておきましょう。

 

今回のポジションは最終的に「シニア・コンサルタント」になったので、行く行くは経験の浅いメンバーを教育したりクライアントと密なコミュニケーションを取ってリードしていくという役割も担うことになりそうで、正直に打ち明けると身震いするほど怖かったです。経験あるといっても5年前の経験なので、忘れてることを思い出したり新しい機能にキャッチアップしていって本当に「シニア」なことができることを自らのパフォーマンスで証明しなければならないからです。ニュージーランドでは最近は3ヶ月の試用期間が一般的なので、まずはこの新しい環境に早く適応して完全なPermanent Positionとしての立場を確固たるものにする(=試用期間中に首を切られない)必要がありました。そういう意味ではこのジョブオファーでやっとスタートラインに立てただけで、本当のチャレンジは始まったばかりなのです。

とはいえ、決心だけしてお金を払い込んで手続きすればよかった出国時と違い、仕事を決めるという過程は運やタイミングも重要ですが、それ以上に応募しても応募しても反応がない時期を何ヶ月にも渡ってモチベーションをキープしていかなければなりませんでした。そんな時、興味を持ってこのコラムを読みにきていただける方がいるということだけでも「なんとか良い報告をせねば!」とやる気を奮い立たせてくれました。この場を借りて読みに来ていただいた方皆さんに感謝したいと思います。

 

元々日本で技能と呼べるようなものがなかった僕ですらこうして唯一とも言える浅~~い製品経験を活かして現地就職できたわけですから、今既に技能を持っていらっしゃる方、これから現地専門学校などで技能を身に付けようとされている方、皆さん達にはもっと数多くのチャンスが訪れるはずです。日本人特有の丁寧な仕事や対応、手先の器用さなどは一度中に入り込んでしまうと思っている以上に高く評価されるので、とにかく自信を持ってこの現地就職という大きな壁をぶち破ってください!

 

(続く)