移住コラム第26回:オークランド職探し(活動編)

ここからはそれまでの計画に沿って実際に現地企業にぶち当たっていく、行動に移していくフェーズです。僕の場合はBA(Business Analyst)という業務知識やコミュニケーション力を重視される職種柄あまりテクニカルなステップはなかったので同じIT業界での就職を目指す方にどの程度参考にしてもらえるかわかりませんが、とりあえずやったこと・聞いたことを全部書き出しておきたいと思います。

 

【活動編】

 

●ポジションへの応募

準備編で書いた通りITは比較的オンラインの求人サイトから応募することが飲食業などに比べて多いと思います。僕もネットワーキングが専門学校同級生関連くらいしかできてなかったので、応募はもっぱらオンラインからでした。もちろん応募がされていなくても、興味のある会社があればウェブサイトなどから連絡先となるEメールアドレスを見つけてCVを送り付けるという方法もあります。

効果の程を測定する術がないのでキャリアコンサルタントから聞いたことの受け売りですが、応募するにあたっては以下の点に留意した方がいいと言われています。

・求められるスキルに最低でも70%くらい合致した求人に絞ること。「あまり合ってないけど取り合えず申し込んどこ」という数打ちゃ当たる作戦は時間の無駄

・オンラインフォームで申し込むことができる求人でも、もし担当者のメールアドレスが書いている、または調べてわかるようであればEメールで送ること

カバーレター(CVとは別のサマリー)は必ずEメール本文に書き、ファイル添付はしないこと。オンラインでの申し込みでも、カバーレターのファイル添付かフォーム内での直書きか選べる場合は「直書き」を選ぶこと

・エージェント経由か企業からの直接求人かに関わらず、担当者の名前がわかっている場合はカバーレターの書き出しは「Hi XX,」で始めてカジュアルにすること(キウィはカジュアルなのがお好きらしい)。わからない場合は「Dear Hiring Manager:」などでOK

・求人内容に含まれるスキルやキーワードなどを毎回精査して、カバーレターにもCVにもそれらを極力盛り込むようにすること

個人的には一番大切なのは最初のポイントだと思います。実際僕も去年は1日3件とか申し込みしてた時がありましたが、絞り込みが足らないと集中力が分散してしまい、本当に時間をかけるべきスキルがマッチした求人へのフォーカスが薄れてしまいます。就職活動中は不安が先立ってしまい常に応募していないといけないような強迫観念を覚えてしまいますが、量より質を優先するよういつも心掛けましょう。

この第一ステップでピックアップされると以下に書くような次のステップに進むわけですが、僕の場合は確率的に20件応募して次に進めるのが1件、という程度だったので、日本にいた頃の転職活動に比べると鬼のようにフラストレーションが貯まる日々でした。。。

 

●電話面接

求人に応募した後はリクルートエージェント、または企業の採用担当者がCVを元に「short listing」という一次選考作業を行います。この過程で、候補者に直接電話をかけてきてCVに書かれている内容を確認したり、もっとトリッキーな「Tell me about the time when you made a mistake and how you handled it.」的ないわゆるbehavioral questionをしてきたりして、電話での回答内容によってふるいにかけようとします。

突然かかってくる英語の電話ってネイティブじゃない人間にとっては非常に緊張するものですが、さらに何十件も応募して反応を待っている状況ではその場でどのポジションのことかを思い出すだけでも大変。少なくともどのポジションにいつ応募したかは記録を残すようにしておきましょう。

この電話面接、心がけとしては「エージェントだろうとHRの採用担当者だろうと、現場の人間ではないので専門的な内容はわからない」ということです。つまり、あまり高度な専門用語を交えすぎないように少しは気を付けた方がいいですが、具体的な内容については相手がわかっているかどうかを気にせず、自信を持って堂々と話すことが重要です。面接官は回答内容よりも候補者が話す態度に注目しているからです。

電話面接がうまく行って「short list」されると、次に対面面接をアレンジされるのが一般的な流れです。

僕はこの電話面接、2回だけ経験しました。どちらも落とされて先には進めませんでしたが、今思うと話す内容がまとまらないまま話し始めてしまって途中シドロモドロになったり、口調からはきっと自信の欠片も感じられないようなビビリ具合だったので、ここで落とされたのも不思議はなかったですね。

 

●対面(Face to Face)面接

僕が応募したポジションで電話面接からこの対面面接に進んだことはありませんでしたが、実は2回だけですがオンラインの申し込み(CVの内容)だけで対面面接をセットアップされたことがあります。なので、必ずしも上記電話面接の次に対面面接というわけでもないようです。

このうち1回はかなり大きな金融機関でしたが、人事から指示されたフォーマットに従って体系立って進められた感じでした。アサインされるプロジェクトの内容を一通り説明受けた後に聞かれたのは次のようなことです。

・応募したポジションに関連のある職歴の説明
・上述「behavioral question」を5つくらい
・どのようなキャリアパスを考えているか
・希望する年収
・ビザのステータス(オープンワークの有効期限とか)

最初の先方からの説明で僕が未経験のソフトウェア製品を扱うプロジェクトとのことだったので自分の職歴との関連を説明しにくかったのと、ある程度準備はしていてもやっぱりbehavioral questionが曲者で少しスムーズさが足りなかったのが原因だったんじゃないかな?という気がしますが、この時はこの段階で見事不採用となりました。。。

もう1回の方は応募職種が日本でやっていたことと非常に近く関係ある職歴の話に終始できたので、やっぱり過去に自分が経験したことを話す方が楽ですね。逆にどんな質問でも自分の経験に結びつけて話せさえすれば自信に満ちた態度で面接に臨むことができるはずです。

 

●テスト

さて、これは僕も経験してないので周りから聞いた話です。

まず職種にもよりますが、ITのProgrammer/Developer職の場合は特にテクニカルテストを受けさせられることが結構多いようです。もちろん対面面接の内容もかなり細かい技術的な話になるでしょうし、その時に課題を渡されてその場で解くように言い渡されることもあるとか。

また、大手のリクルートエージェントの何社かはshort listする際にオンラインでテクニカルテストを受けさせ、一定の点数を超えた応募者だけクライアントに通すルールになっているところもあります。

就職セミナーで知り合った同じBA職を探していた中国人の友人はある会社で要件定義の擬似ワークショップをやらされて、その結果をUMLというドキュメントにまとめる、という課題を出されたとのことでした。すみません、専門的過ぎて極一部の人にしかわからないと思いますが、とにかく働き始めて実際にやるであろうことをシミュレーションさせられるという感じです。

あと、職種に限らずある程度の規模の会社だとオンラインの適性検査(Aptitude Test)を受けさせられるケースが多いようです。これは日本でも新卒採用では似たようなことやったりすると思いますが、簡単な算数、パターン認識、言語能力(もちろん英語)などを試されます。1問に充てられる時間が限られているので単純な問題でも時間的プレッシャーの中で解こうとすると結構焦ります。あと、言語能力テストは半端なく難しいです。。。

フリーでトライアルテストができるサイトを見つけたので、興味がある方は是非トライしてみてください。
Aptitude-Test.com

 

●エージェントとの面談

きっかけは色々あると思いますが、リクルートエージェントと直接面談することで間口が一気に広がることがあります。エージェントは入ってきた求人を全てオンライン広告として公開するとは限らず、時には手持ちの候補者からスキルがマッチした人を紹介することもあるからです。エージェントの手駒になってしまえばこのルートで紹介してもらえる可能性が高まります。

方法としては

・ポジションが募集されているかどうかに関係なくこちらからエージェントに売り込みをかける
・ある応募のshort listに残ったタイミングで親しくなる
・休職中の友人やクラスメートなどから紹介してもらう

といったところがよくあるパターンだと思います。

いいエージェントに当たるかどうかは運もありますが、エージェントも応募者が採用されてなんぼなので、真剣にCVの書き方をアドバイスしてくれたり面接の指南をしてくれたりする人もいます。専門学校の日本人クラスメートは担当エージェントのアドバイスで見事ディベロッパーのポジションをゲットしました。

僕もSNSを通して知り合った友人からの紹介で1人、LinkedInからコンタクトしてきたエージェントが1人、合わせて2人と直接会って色々アドバイスをもらいました。直接ポジションを紹介してもらえるところまで行きませんでしたが、この2人にCVをブラッシュアップしてもらったおかげで改めて自分の得意分野が何であるかが明確になり、その後の就職活動に更なる自信を持って臨めるようになりました。

以上でだいたい覚えていることは書き尽くしたと思います。日本では転職活動を2回しましたが、やっぱり海外就職は日本と結構違うところがありますね~。読むだけだとなかなか実感が沸かないところもあると思いますが、これから同じ道を歩む方の参考に少しでもなれば嬉しいです!

 

(続く)