移住コラム第29回:Kiwiの会社ってどうなの?

こうしてニュージーランドで初めてのお勤めが始まりました。最初の1週間はオークランドのオフィスに出社して慣らし運転してたんですが、その後急遽ニュージーランドの首都ウェリントンのプロジェクトをお手伝いすることになり、最近一段落してまたオークランドに帰ってきましたが結局月~金はウェリントン出張、週末だけオークランドに帰宅という二重生活を5ヶ月にわたって続けることになりました。おかげで3ヶ月の試用期間は意識する間もなく過ぎ去り、5年前にやっていたことの記憶もすっかり蘇ってきました。

ということで、ここまでほぼ半年間Kiwiの会社に勤務してみて感じたことを包み隠さずここでご報告しておきたいと思います。

まず最初に

 

英語、全然わかりません・・

 

専門学校ではいつもインターナショナルの生徒(同じような永住権目当ての人達)とツルんでいたのであまりKiwiの学生達と交流しておらず(っていうかKiwiはみんななぜかドロップアウトしていった)、今回就職して初めてKiwi英語のシャワーに晒されています。実際オークランドのオフィスにはアメリカ人、英人、南アフリカ人など他の国のネイティブもかなりいるんですが、やっぱりアメリカ人は聞き慣れてるので楽です。イギリス英語にも慣れてたと思ってましたが、その英人の話し方がボソボソしてて個人的にヒアリング苦手な英語を話す人でなかなか苦労してます。面接してくれたディレクターとボスはKiwiといってもそれ程わかりにくい発音ではないので直接話しかけてくれる分にははなんとか聞き取れますが、同僚たちがみんなで話しているのを聞いて何の話か推測したり、ましてやその輪の中に入っていくのは未だにハードルが高いです。。。初日から学校を楽しんで、もう1年半以上英語オンリーの授業を受けている息子にはとうに置いていかれている感じがヒシヒシとします。

なにしろ英語は長い期間を通して少しずつ上達してきたタイプなのでブレークスルーの経験がなく、英語オンリーのプロジェクトといっても英語を母国語としない人も多々混ざっていた環境だったので、いきなりネイティブオンリーの中に放り込まれるとこうなることはある程度予想はしていました。が、今の苦労はその予想を遥かに上回っています。ウェリントンのプロジェクトは僕以外の4人が全員Kiwi、同じプロジェクトルームにいるお客さんもほとんどがKiwiだったので更に苦労しました。。。

まー何を始める時も同じなんですが、個々人の発音のクセもそうですが最初はまず

・周りの人達の性格とか、ここでこういうジョークを言う、といったような話し方の傾向がわからない
・職場の業務やシステムの専門用語がわかならい(特に「BFR」みたいな短縮語)
・話に登場する人の名前がわからない
・その人達がどういう立場の人かわからない
・仕事やプロジェクトの流れがわからない

とわからないことだらけなので、本来「知らない/聞き取れない英単語やフレーズを推測する」だけであれば何とか回っていた頭も、他のわからないことに圧迫されて全てが推測不能に陥るのが常です。英語は時間がかかるでしょうが、上記のことは実際働いていると徐々にわかってくることのなはずなので、それに関するシナプスが繋がるのを待つしかないのです。実際ウェリントンのプロジェクトでは業務内容にキャッチアップしていくに従って仕事で使う英語に限っては少しずつですが慣れてきました。仕事でまずは実力を認めてもらう(demonstrate my worth)ことができると周りとの会話も徐々に増えてきます。

ただし、英語は仕事で使うものより日常会話の方がず~~っとハードル高いので、そこはまだまだフラストレーションが溜まる時期がこれからもしばらくは続くでしょう。

いずれにしても、この絶望する経験を乗り越えて初めて得られるものが必ずあるはずなので、それまではカルチャーを知らない移民として、英語が母国語ではない非ネイティブとして、人の何倍も努力しようと決意しています。前回書いた「就職決定でやっと入口に立てた」とは正にこのことで、もはや永住権は目的ですらありません

 

それでは少し話題を変えて、Kiwiの職場での面白いカルチャーの違いを少しご紹介しておきたいと思います。

以前から噂に聞いてはいましたが、Kiwiの残業しなさは半端ないです。どこかで見たランキングですが、ニュージーランドは「ワーク・ライフ・バランスが最もとれた国」らしく、実際に働いてみると「なる程」と強く実感できます。

特にオークランド、ウェリントンの都市部に言えることだと思いますが、車での通勤が多いので朝夕は道がかなり渋滞しています。ことため、ラッシュアワーを避けるためにかなりの人が朝早く会社に来て夕方も早く会社を出ます。ウェリントンのプロジェクトもオークランドのオフィスもだいたい8時スタート、5時エンドの人が大勢を占めます。中には8時半スタートなのに家が遠いからという理由で4時過ぎには帰途につく人もいます。就業規則には「1日8時間勤務」と書かれてるのに、どう考えても守ってないっぽい。。。

あと、金曜はランチにビールやワインといったお酒を飲むのは全く許されており、うちのオークランドオフィスでは金曜午後3時くらいになると会社支給のビールをあおり始めます。なんと就業規則にも「お酒は会社から出すけど節度を持って飲んでね!」って明記してあるくらい。ビール2本くらいなら飲酒運転も許されてるので結構みんな遠慮ありません。その代わり金曜以外で同僚と飲みに行くって文化は(まー飲む人は飲んでますが)日本に比べると極端に少ないですね。

これだけ書くととんでもな国みたいですが、これすなわち「その分会社にいる短い時間に集中して効率よく仕事をこなす、家で家族と過ごす時間をたくさん取る」ということの裏返しです。

早く自分の仕事を軌道に乗せて、Kiwi流の働き方を満喫したいものです。いつになることやら・・・トホホ。

 

(続く)