英語コラム第21回:崩れゆく文法

言葉というのは段々変っていくもので、間違った使われ方が定着して事実上正しい使われ方になっていくことがよくあります。『悪貨は良貨を駆逐する』というやつですね。

これについて今日面白い発見をしました。

provide A with B(AにBを提供する)
deprive A of B (AからBを奪う)

という用法をご存じでしょうか?同じ物をあげるのでも、動詞の「give」を使うと

Give me your money.

と2つの目的語を前置詞なしで取れるのに、こいつらときたら与えられたり取られたりする物の前に前置詞を必要としやがります。

そこで、文法的に正しい用法と間違った用法を両方ググってみました。


【結果】

"provide me with the" =39,000,000
"provide me the" =47,100,000

驚いたことに、すでに間違った用法の方がヒット数が多いという結果に!
正誤両方を載せている文法解説のページもあると思いますが、それを勘案してもかなりの数です。

ちなみに、「deprive」の方は

"deprive me of the" =1,420,000
"deprive me the" =762

と、こちらはまだ「やーい、間違えてやんの、バーカ」と言えるレベルではあります。

他にも似た単語で「supply A with B」や「rob A of B」があるので興味あれば調べてみてください。

Please provide me the necessary information.

が正しい用法とされる日は近そうです。


ちなみに、僕はよく

Please provide with the necessary information.

と書いていました。『私に』とか『私たちに』といった気持ちが含まれているので間違いではないものの、ちょっと堅苦しい表現のようです。「provide」は『誰に』という目的語がない場合は『何を』という部分が前置詞の「with」なしで目的語にできるためです。

文法上必要とされてきた構文まで「with」が抜け落ちようとしているのであれば、これからは上の表現は堂々と胸を張って「with」なしで書くようにします。

まっ、その方が楽だしね