英語コラム第19回:The Sign (1994)

北欧出身の歌手で英語圏のマーケットで成功を収めている人は意外に多いです。

古いところではABBAから始まりRoxetteに続くスウェーデン出身バンド、Take On Meのa-haもノルウェーの出身です。
北欧は英語が公用語でないにも関わらず、非常にきれいな英語を話す人の割合が他のヨーロッパ諸国に比べて格段に高いです。

英語が北欧の言葉に近いためとか、テレビ番組の多くが英米のものであるためとか諸説ありますが、英米のヒットチャートで受け入れられているのもこのきれいな発音のおかげだと思われます。

今日はもう一組、スウェーデン出身で世界的に成功を収めたこのバンドの曲からです。

The Sign by Ace Of Base

1994年のBillboard年間チャートNo. 1のヒット曲で、ダンサブルなクラブミュージックです。

そして、ポイントフレーズは短いBメロの中から2つ取り上げます。

Why do I bother
When you're not the one for me
Is enough enough

最初はこの「bother」の使い方です。
この歌詞の文脈だとcareと同じで「気にする」という意味ですが、「bother to ~」か「bother ~ing」だと『わざわざ~する』という意味にもなります。日本人には使い難い動詞の一つですね。

動詞の使い方が難しいのに、ここではさらに輪をかけて「To Be With You(リンク)」の回の最後でも説明した「反語」的な用法(なぜ私が気にするの?=私は気にしない)になっています。今回はIが主語なので普通の疑問系の語順になっていますが、主語がYouやWeであれば

Why bother?(なぜそんなこと気にするの?=気にするなよ)

とWhy+動詞の原型で使うことができます。


また、イギリス英語ですが

I'm not bothered.

という言い方もあります。「I don't care.」はちょっと不躾な言い方に聞こえますが、同じような意味でも少し丁寧に感じます。「It doesn't matter to me.」に近いニュアンスですかね?

次の「Is enough enough?」は最初曲を聴いたときは何のことかさっぱりわかりませんでした...

Enough is enough.(うんざり!)」の疑問形です。
enoughを使った他の言い方で同じ意味の

I’ve had enough!

というのも良く耳にしますが、こちらの方が頻繁に使われてると思います。満腹の時さらに食べ物を勧められて『もう結構です』という時にも使えますが、確実を期すのであれば満腹の時は

No thanks,

I’ve had plenty.

I’m full.

I’m stuffed.

などを使った方が無難でしょう。

 

果たして、日本の歌手で英米で最初に成功を収めるのは誰になるのでしょうか?ヒッキーでも厳しいとなると、やっぱり「きゃりーぱみゅぱみゅ」に期待するしかないんでしょうか?