英語コラム第9回:Walk Like An Egyptian (1987)

今日の曲は1987年のBillboard年間1位に輝いた、ガールズバンドBangles最大のヒット曲です。

Walk Like An Egyptian by Bangles

ある意味とんでもない曲で、内容を深く考えてはいけない類の歌詞、メロディーです。明らかに色物。(笑
少し前に仕事であるエジプト人と知り合うというレアな機会があったので、彼に「エジプトではみんな本当にあのPVのような歩き方をするの?」って聞いておけばよかったと深く後悔してます...


それでは歌詞解説です。2番のAメロの部分から。

Blonde waitresses take their trays
They spin around and they cross the floor
They've got the moves (oh whey oh)
You drop your drink then they bring you more

3行目の「They've got」ですが、これは元の現在完了形の意味が薄れて口語で「have」と同じ意味になります。最初このフレーズを覚えた時はイギリス英語だと聞いた覚えがあったんですが、Banglesは皆アメリカ西海岸出身。アメリカ口語としても普通に使われます。

さらに、この曲の1番の歌詞の中には「They got the money on a bet」と「have」が省略された形も出てきます(歌詞全体を通して現在形が使われているので、ここだけ過去形というのは考え難い)。

ただし、これが相手に尋ねる疑問形「Have you got」になるといきなりイギリス英語っぽくなるから不思議です。アメリカ英語では普通に「Do you have」と聞くことがほとんどですよね?
しかも、ネイティブでも稀に「Do you got」という文法上全くあり得ない聞き方をする人まで出てくる始末。正しくない英語をあえてマネる必要はないですが、それくらいごちゃ混ぜになっているということだけ心に留めておいてあげましょう。

これに形の近い言い方で「have got to 」というのもあります。こちらは『~しなければならない』『~に違いない』という意味で、同じく現在完了形の意味は薄く、しばしば

I got to go now. (haveを省略)
I gotta go now. (got to⇒gottaに短縮)
Gotta go now. (主語のIまでも省略)
 

と変化した形が会話でよく聞かれます。


次に4行目ですが、ここは文法上も語彙上も取りたてて耳慣れないというわけではありません。が、文章の意味から考えると『君が飲み物を落としたら、彼らはもっとたくさん持って来てくれる』ということなので、思わず

When you drop your drink...
とか
If you drop your drink...

を日本人だと使ってしまうと思うんです。あ、もちろんifもwhenも間違いじゃありませんよ。

でも、英語の特に会話ではこのように「then」を使って結果を表すことが思った以上にあります。「then」は厳密に言うと接続詞ではなく副詞なので

You drop your drink. Then, they bring you more.

のように2文になるんですが、似たような使い方で結果を表すand」(並列のandではないので注意)というのもあり、この文を言い換えると

You drop your drink and they bring you more.

となります。

中学校1年生の最初に習うような簡単な接続詞でも、ちょっと使い方を知っていれば表現のバリエーションを増やすことに大いに貢献してくれるよい例ですね。