英語コラム第13回:Eight Days A Week (1965)

今日はいよいよ大御所中の大御所の登場です。

Eight Days A Week by The Beatles

もうThe Beatlesの説明自体はする必要ありませんよね?
Eight Days A Week」は1965年にアメリカのみでリリースされた1曲で、フェード・インから始まるという珍しいイントロを採用してます。


それでは、曲の出だしのAメロからです。

Ooh I need your love babe.
Guess you know it's true.
Hope you need my love babe,
just like I need you.

2行目と3行目に関しては、主語の「I」が省略されています。動詞から始まっているからといって『想像しろ』とか『期待しろ』って命令してるわけではないのでご注意ください。(笑
この主語の代名詞の省略ですが、他のヨーロッパ言語に比べると英語は動詞の変化が少ないためか、あまり多く発生するものではありません。
が、歌詞に限らず口語で明らかに主語がわかっている場合には省略されることもまれにあります。

また、決まり文句では慣例として主語(+α)が省略される方が多いものがあります。

(I) Thank you very much.
(I'll) See you later.
(I'm) Looking forward to hearing from you soon.

とかですね。


次に、サビの部分です。

Hold me, love me, hold me, love me.
Ain't got nothin' but love babe,
Eight days a week.

真ん中の行ですが、英語としてはかなりくだけた表現ですね。
まず「ain't」ですが、元々は俗語ではなく「am not」の短縮形として使われていたようです。「isn't」と「aren't」はあるのに、「amn't」ってない(正確にはなくはないが、語感が悪いのでほとんど使われない)ですもんね?

ただ、これがだんだん「isn't」「aren't」「haven't」「hasn't」全ての代わりとして使われだしたため、一般に俗な言い方として定着してしまったようです。
一部地域(アメリカ南部?)では更に「don't」「doesn't」「didn't」の代わりとしてまで使われているようですが、この「ain't」って実際どの程度口語として使われてるんでしょうか?少なくともロンドンにいた時の職場や今のオフィスでは耳にしたことありません。

あと、「Ain't got nothing'」と強調の二重否定になっているのも口語っぽいところです。
二重否定については以前「二重否定(Double Negative」という回で触れていますので、こちらも参考にご覧ください。

最後に、曲名にもなっている「Eight days a week」。ブリッジでも

Eight days a week, I love you.
Eight days a week is not enough to show I care.

と彼女への愛を示すには1週間が7日では到底足りない、という具合に比喩的に使われていますが、これはBeatlesの作った造語であり、正式な熟語になっているわけではありません。

が、これに似た時空を歪めたような比喩的な表現がもう一つあります。

need it yesterday.

yesterday」なのに、動詞は現在形の「need」。「needed」ではないとことがポイントです。
これは言い換えると「I need it as soon as possible.」で、緊急度がメチャクチャ高いことを大げさに表したidiomです。

日本語の『一昨日(おととい)来やがれ!』にちょっと通じるところがありますよね?