移住コラム第9回:出国準備(引越し編)

次は前回の「ビザ編に続く出国準備の二つ目、「引越し関連」についてです。3つに分けた項目のうちでは最も時間と体力を使う部分でした。

まず海外引越しが国内引越しと大きく異なる点、それは「持っていけるものが限られている」という部分です。会社の赴任で引越し代が必要なだけ使えて現地では会社負担で日本より広い場所に住める、という人ならあまり気にせず送っちゃうこともできるかもしれませんが、僕は仕事がどうなるかわからない状況にも関わらずNZに骨を埋める覚悟を持って出国する人、基本的に今使ってて送るものは必要最低限に絞り込まないといけませんでした。そもそも家電系は電圧とコンセントの形が違うので海外では使えないものも多いし、洗濯機や冷蔵庫なんかは送料だけでも新品が買えてしまうので送るという選択肢はきっとないでしょう。これはベッドやソファーなんかの大型家具も同じ。

そこで、船便や航空便で送るものを決め、送らないものは「処分」しなければならないわけですが、これが方法として色々あるわけです。

 

●送る

輸送手段は大きく以下の4つになると思います。

1)船便
一番安い(30kgの1箱で1.5万円程度)、到着までNZだと2~3ヶ月。
南半球は出国時夏だったので、日本の冬物衣料はこの機会に使ってない服など全部捨てた上で船便でした。うちの場合これで送ったのは他に「本」「よく使う食器類」「布団」「靴」といった感じのものです。

2) エコノミー航空(SAL)便
船便より早く(通常2週間~1ヶ月)、航空便より安い(30kgで2.5万円程度)国際郵便サービス。
出発地と目的地の陸路が船便扱いになるので航空便より安くなる仕組みらしいです。これは妻の化粧品を一箱送ったくらいですね。

3) 航空便
最速の輸送手段(1週間前後)。当然一番コストがかかります(30kgで4万円程度)。
今回うちは利用しませんでしたが、あまり重くならない食料品などを送るのには適しています。

4) 手荷物
スーツケースや手荷物として一緒に移動する方法ですが、うちはスーツケースとバックパッカーのような大きなリュックを3人それぞれ持って行ったので結構バカにならない量運べました(代償に到着直後は腰痛で動けず)。到着後すぐに必要な衣類、ノートPC、すぐ読む本や貴重品などはこの手段になります。

上記1)~3)の金額はうちで使った日本郵便のニュージーランドまでの料金なのであくまでご参考程度に。個数が多いとディスカウントもありました。他の業者だと船便料金は重量ではなく容積で計算するとこも多いみたいです。

上記4の手荷物以外は送付先の住所が決まっていないと送れないので注意が必要です。僕の場合はビザの手続きを自分で全部済ませた後に後付けでクライアントになった留学エージェントがあり、そこを一時的な送付先とさせてもらいました。

予想より少し早めに全て届きはしましたが、いくつかの荷物はニュージーランドの税関で足止めを食らいました。説明してなんとかGST(Goods and Services Tax:物品サービス税)免除でリリースしてもらいましたが、うちの荷物が足止めされた理由は申告金額が大きかったからみたいなので、内容物の価値は新規購入費用ではなく現在価格で申告した方がいいかもしれません。
あと、梱包は厳重に。海外小包はかなりの重量のものが積み重ねられるので、うちでは元々分厚い海外発送専用ダンボールをわざわざ購入し、裏からもう一枚普通のダンボールで補強しました。

また、僕は関係ありませんでしたが車をお持ちの方は今の車を船で送るのか、この機会に買い換えるのか判断しなければならないですね。車の輸送はお金だけでなく手続きも大変そうなので事前によく調べて決めましょう。


●売り捌く

値段が付くものに関しては当然売り捌ける(しかもできるだけ高値で)に越したことはありません。が、これがなかなか大変

1) オークション
状態が良いものであれば思わぬ高値が付く可能性もありますが、出品、入札者からの問い合わせ対応、終了後の落札者とのやり取り、商品の梱包と発送、など、全てをレスポンス良くこなしていかなければなりません。品数が多くなるとマジでパニックになります。出国まで時間があれば希望価格に届かない場合再出品とかできるんですが、うちは時間がなかったので落札者の皆さんは相当お得な取引されたと思います。(笑

2) ガレージセール・フリーマーケット出品
ある程度時間に余裕があればまとめて捌ける可能性があるので面白いかもしれませんね。これは今回どころか今までやったことがないのでなんとも言えません。

3)業者買取
購入から5年以内の電化製品などは業者さんに買い取ってもらうことができるかもしれません。まー向こうも商売なので仕方ありませんが、値段はかなり叩かれることを覚悟しておいた方がいいでしょう。

4)マーケットでの売却
もっと大きなもの、つまり家や車、金融商品といった資産です。僕は賃貸だったし車もなかったので大きな問題はなかったですが、以前マンションを売却した時の経験上、家の処分は数ヶ月かかる可能性があります。まー持ち家の人だったら海外脱出とか考えないかもしれませんが。

とにかく、移住を真剣に考えられているのであれば早めに身軽になっておくことは準備として大切なことの一つですね。

実は最初の頃のオークションで「車で取りに来てくれる方のみ入札してください」と断って出品していた小さめの家具類を落札してくれた人が偶然リサイクルショップを都内で経営されている方で、粗大ゴミとして処分するつもりだった家具もかなりの部分買い取ってもらうことができました。個別交渉になったのでこちらの希望したタイミングで引き取りに来てもらうこともでき、この人が現れてくれたおかげで処分の負荷が一気に軽減されました。すごくラッキー!


●もらってもらう

親族や友達で「これ使いたい!」という人がいればもらってもらいましょう(高価なものであれば買ってくれる場合もあるかもしれません)。車を持っている人であれば取りにきてもらう日を選べたりするので、出国するギリギリまで必要なものなどは融通が利く知り合いと話を着けておくのは案外便利です。

ただし、何をもらってもらうかのアレンジは早めの方がいいと思います。先に売却することになっている物で「えー、これ欲しかったのにー!」って後で言われても遅いですから。

思いの外これで捌けなかったのが「食器類」。全然使ってないもらい物が山のようにあったんですが、聞いてみるとどの家も引き出物なんかでもらった食器は有り余っていて、結局新品のまま相当数捨てることになってしまいました。。。


●有料処分

1)粗大ゴミ
住んでいる地域によってルールは異なると思いますが、「コンビになどで券を購入する」「日にちが決まっている」「場所が決まっている」「引き取ってもらう物を予め連絡する」「1回に出せる個数の上限がある」「あまりにも巨大なものは引き取ってもらえない」など様々なルールが存在しており、早い段階から入念な計画が必要です。
食器などは普通の家庭ゴミとしても出してましたが、目黒区は1回で4袋を越える量になると粗大ゴミ扱いで有料になりました。トホホ...

2)業者引き取り
買取業者にタダで一緒に持っていってもらうことができる場合もありますが、古い家電や巨大な家具は通常結構なお金(数千円~数万円)を払って処分してもらう必要があります。業者によっては「無料引き取り!」と宣伝しておきながら「輸送費は別途かかります」と言って法外な費用を請求するなど悪質なところもあるようなのでお気を付けください。


●保管

どうしても処分できない、でも新生活で必要となるわけではないので海外に持って行くわけにもいかない、といったものが出てきます。我が家の場合は卒業アルバムや息子が小さかった頃幼稚園や小学校で作った工作類など、思い出が詰まったものが多かったですね。
こういう時「あって便利だった」と思うのが田舎の実家。幸運なことにうちは二人とも地方出身者なので、岡山・長野共に多いに利用させてもらいました
期間が見えている海外赴任などであればトランクルームを借りて入れておくという選択肢もあるかもしれませんね。


いやー、書き出してみるとやっぱすごいわ・・・結婚して13年経つ家庭なので家の中に相当数のモノがあったんですが、あれが1ヶ月で全てなくなったという事実が未だに信じられません。
前にも書きましたが、僕は出国の数日前まで会社に通ってたので引越し関連はほとんど妻にオンブ&ダッコでした。
ホント、彼女には頭が上がりません。まー、頭が上がらないのは今に始まったことじゃありませんが。(笑

 

(続く)