英語コラム第7回:To Be With You (1991)

カテゴリー最初の回は個人的にすごく思い入れがある、1991年にヒットした曲です。

最初の会社の仲が良い先輩と一緒にカラオケ行くと、必ず二人で歌う定番曲だったんです。サビが輪唱のようになってて、その後がハモり。ここが決まるとトリップできそうなくらい気持ちいい!
転職した後は僕が勝手にハモっても怒らない同僚が見つけられてなく寂しい思いをしたので、この曲が流れてるのを聞くとあの当時がとても懐かしくなります。

To Be With You by Mr. Big

Mr. Bigはハードロックバンドですが、本職のハードな曲ではなくアコースティックなメロディアスバラードの方が大ヒットしてしまうという現象は同時期(1991年)にヒットしたExtremeの「More Than Wordsに運命がちょっと似てます。きっと演ってる本人達は複雑な心境なんでしょうね。


それでは英語のフレーズ解説にまいりましょう。1番の出だしからサビに入る前の全部です。

Hold on little girl
Show me what he's done to you
Stand up little girl
A broken heart can't be that bad
When it's through, it's through 
Fate will twist the both of you 
So come on baby come on over 
Let me be the one to show you

最初はAメロ内の「what he’s (he has) done to 」ですが、これに似た言い回しで「done for 」というのがあります。Janet Jacksonのヒット曲「What Have You Done For Me Lately」の曲名の中でも使われてますね。

この2つのフレーズ、前置詞「for」と「to」の違いだけで意味が全く正反対になります。

「do to me」だと私がひどいことをされたという意味。一方「do for me」はいいことをされたという意味になります。なので、例えば昨日誕生日だった女友達に『昨日は彼に何してもらったの?』と聞くつもりで

What did he do to you yesterday?

と聞いてしまうと『彼はそんな男じゃないわよっ!』って絶交されてしまうかもしれないので気を付けてください...


次のフレーズはBメロの最初「When it's through, it's through」のところです。
まずこの文章、「it's through」が強調のため繰り返されているわけではなく、「it's through」という2つの同じ文章が「when」という接続詞で結ばれて一つの文になっているもので『終わる時は終わるもの』という、ちょっとあきらめが入った必然性を意味する表現です。

この2つの同じ文章を繋ぐパターンは他に

If it has to be done, it has to be done.
やらなきゃなんないものはやらなきゃなんない

というのもありますね。こっちも仕方ない感があり、そのあたりも同じです。

また、「through」を『終わる』という意味で使う場合は「I'm through with love.(もう恋はこりごりだ)」のように人が主語になることが多いですが、今回の歌詞のように「it」や「our love」などの無生物を主語にすることも多々あります。
「It's over.」とか「It's done.」なんかと同じ使い方ですね。


最後に2番が終わった後のコーラスの部分から。

Why be alone when we can be together baby
You can make my life worthwhile
And I can make you start to smile

Why not 動詞の原形(以下V?」で『~しない?』という誘いかけの意味になるのはメジャーですが、この「WhyV?」もよく日常会話で使われます。でも、英語の参考書などではあまり触れられてないんですよね...なんでなんでょう?

Why、How、Whatなどの疑問詞で始まる疑問文は、素直にわからない部分を聞いている場合と、わかっている結論を反語的に確認・念押しする場合があり、この「Why not V?」と「Why V?」はどちらも後者の使い方です。

「Why not V?」の方だと『なぜVしないの?=>もちろんするよね?』という意味を含んでいますが、「Why V?」の方は『なぜVするの?=>普通しないよね?』という、かなり非難めいた意味になってきます。

よって、歌詞の訳は『俺たち一緒にいることができるのに、なんで一人でいてんの?(=普通俺といるよね?)』という口説きの言葉です。ある意味自信満々なんですが、恋愛においてはこの自信が超裏目に出ることもあるのでご注意ください!